社会保険料はどうやって決まるの?
基本的には、4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額をもとに決定されます。
ん?ん?ん?4月・5月・6月のお給料で決まるんですか?
はい。そうです。社会保険料は、標準報酬月額に保険料率を掛けて計算するんですけど、その標準報酬月額をどうやって決めているかと言いますと、4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額で決める仕組みになっています。今から詳しく説明しますね。
はい!お願いします。
社会保険料は、お給料の金額によって決まります。お給料が高いと社会保険料も高くなり、お給料が低いと社会保険料も低くなるという仕組みです。
では、お給料の金額が、残業代などによって月々変わると、社会保険料もその都度変わるのかというと、そうではありません。
実は、社会保険料は、月々のお給料の額を使って計算しているのではなく、原則として4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額をもとに計算していて、その4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額のことを、「標準報酬月額」と言います。
なるほど~。ところでお給料は、手取り額の事ですか?
おっ!なかなかするどい質問ですね。この場合のお給料の額は、税金や社会保険料を天引きする前の総支給額のことです。ちなみに通勤手当や家族手当なども含めて計算します。
そうなんですね~。ちなみに、私の4月・5月・6月のお給料の平均額を計算してみたら25万円でした。なので、私の標準報酬月額は、25万円ということなんですよね?
あっ、いえ。ごめんなさい。実は、標準報酬月額は、4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額をそのまま使うわけではないんです。
えっ!?そうなんですか?
そうなんです。実は、標準報酬月額とは、お給料の金額を一定の幅で区切って決められた金額のことなんです。
少しわかりにくいと思うので、具体的に確認していきましょう。
例えば、さとちゃんの場合、4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額は、25万円とのことでした。
この場合の標準報酬月額ですが、25万円ではなく26万円になります。
これは、お給料の平均額が、25万円以上27万円未満は、26万円が標準報酬月額になると決められているためです。
へー。じゃあ、私の標準報酬月額は、26万円なんですね・・・
その通りです!そして、その標準報酬月額に保険料率を掛けた金額が社会保険料になります。
実際のお給料の平均額は25万円なのに、1万円も高い26万円に対して保険料を計算されるなんてショックだわ~
確かにそう感じるかもしれませんね~。でも、平均額が26万9千円などの場合は、実際のお給料の平均額よりも低い26万円で保険料を計算することになるんですよ。
あっ、そっか~!確かにそうですね~。ん???ところで、今、ふと思ったんですけど、標準報酬月額が高くなると社会保険料も高くなるのなら、社会保険料を安くするためには、4月・5月・6月はあまり残業しない方がいいんですか?
確かに社会保険料をなるべく安くするために「4月・5月・6月は、残業をなるべくしないようにする」という方もいらっしゃいますね。そして、実際に残業時間を少なくすることによって4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額が低くなると社会保険料は安くはなります。
やっぱり・・・
ただ、社会保険料は安くなりますが、その分将来もらう老齢厚生年金や、会社を病気などで休んだ時にもうらうことができる傷病手当金なども安くなります。社会保険料が安い方が、月々のお給料のことを考えると嬉しいかもしれませんが、将来の生活保障やもしもの時の生活保障を考えると社会保険料が高い方が有利とも言えます。
ちなみに、標準報酬月額を少しでも低くするために残業時間を少なくしたいという場合、4月・5月・6月に支払われるお給料が、いつからいつまでの期間のお給料なのかという点に注意が必要です。
例えばお給料が月末締めで、翌月の15日に支払われる会社の場合、4月に支払われるお給料は、3月1日から3月31日分となります。この場合、3月1日から3月31日までの期間の残業時間を少なくすると4月に支払われるお給料も少なくなります。
ただし、会社によって賃金の締め日と残業代の締め日が異なる場合もありますので、必ずご自身の会社でご確認ください。
なお、毎年春に仕事の繁忙期があり、4月・5月・6月のお給料が、その他の月と比べて著しく高いような場合は、年間のお給料で平均額を計算し標準報酬月額を決定するような場合もあります。
へ~。そうなんです。ところで、4月・5月・6月のお給料で計算した標準報酬月額が、それまでの標準報酬月額よりも上がったり下がったりした場合、社会保険料が変わると思うんですけど、いつのお給料から変更になるんですか?
そこは気になるポイントですよね!そのことについては、今から説明しますね。
はい。お願いします。
4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額により決定した標準報酬月額が、それまでの標準報酬月額と変わった場合、新しい標準報酬月額に変わるのは、その年の9月からです。つまり社会保険料もその年の9月分から変更になるのですが、お給料から天引きされる社会保険料が変わるのは、実は10月払いのお給料からになります。
なぜそのようになるのかと言うと、社会保険料の天引きは翌月のお給料から行われるというルールとなっているからです。
そのため標準報酬月額が9月に変更となった場合、翌月10月に支払われるお給料から社会保険料が変更となります。
ちなみに今回説明した4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額をもとに標準報酬月額を決定することを「定時決定」と言います。
定時決定は毎年行われ、定時決定により決まった標準報酬月額は、その年の9月から変更され翌年の8月まで継続されます。
但し、基本給や通勤手当などの固定的な賃金が大幅に変動したような場合には、変動した月から3カ月間のお給料の平均額を計算し、4カ月目から標準報酬月額を変更する「随時改定」というルールもあり、定時決定により決まった標準報酬月額が、必ずしも翌年の8月まで継続されるとは限らないということになります。
【本日のまとめ】
社会保険料は、原則として4月・5月・6月に支払われたお給料の平均額で標準報酬月額を決定し、標準報酬月額に社会保険料率を掛けて計算される。この仕組みを「定時決定」と言い、定時決定で決まった標準報酬月額は、その年の9月から変更され、翌年の8月まで継続される。但し、固定的賃金の大幅な変更により「随時改定」が行われた場合は、固定的賃金の変更された4カ月目から標準報酬月額が変更される。
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