106万円の壁って何?

知っておきたい制度のこと | 社労士・FP事務所 スマイルポート大津
えみちゃん先生

従業員501人以上の会社で、パートやアルバイトなどの短時間勤務の人が、健康保険と厚生年金に加入するかどうかを判断する時の年収のことです!

さとちゃん

従業員501人以上の会社?ということは、従業員500人以下の会社は、違うんですか?

えみちゃん先生

そうなんです。従業員人数によって、健康保険と厚生年金の加入基準が異なります。今から詳しく説明しますね。

さとちゃん

よろしくお願いします。

パートやアルバイトなどの人が、勤め先の会社で健康保険と厚生年金に加入するかどうかは、会社の従業員人数が500人以下か501人以上かによって基準が異なります。

まず、従業員人数が500人以下の会社の場合ですが、その会社で同じ仕事をしている一般社員とくらべて

1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が4分の3以上

の場合に、健康保険と厚生年金に加入することになります。

1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が4分の3以上なので、「1週間の所定労働時間」も「1か月の所定労働日数」も両方とも4分の3以上である必要があります。

例えば、一般社員が

  • 1週間の所定労働時間:40時間
  • 1か月の所定労働日数:20日

の場合、パートやアルバイトは

  • 1週間の所定労働時間:30時間以上
  • 1か月の所定労働日数:15日以上

で、健康保険と厚生年金に加入することになります。この場合、週30時間以上という条件と月15日以上という条件の両方を満たす必要がありますので、「月15日以上働いているけれど、週28時間勤務」のような場合は、加入しないことになります。

次に従業員人数が501人以上の会社の場合ですが、下記の4つ全てにあてはまると、健康保険と厚生年金に加入することになります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 雇用期間が1年以上見込まれること
  • 賃金の月額が8.8万円以上であること
  • 学生でないこと

ちなみに健康保険や厚生年金の保険料を決めるときの賃金には、残業手当や通勤手当、家族手当なども含みますが、③の賃金月額8.8万円を計算する際には、残業手当や通勤手当、家族手当などの一定のものは含みません。

なお、従業員人数が500人以下の会社でも、一定の手続きを行えば、従業員人数501人以上の会社と同じ基準で健康保険と厚生年金に加入することが可能です。

そして、ここからが今日の本題です。

賃金の判断基準が月額8.8万円以上ということは、年額にすると

8.8万円×12月=約106万円

となります。

そうです!

今日のタイトルの106万円です!!

従業員人数が501人以上の会社の健康保険と厚生年金に加入基準の賃金の年額が約106万円になることから106万円の壁と言い方で表されるようになったのです。

なお、106万円の壁は、今後法改正が予定されていて、501人以上という従業員人数が

  • 令和4年10月から:従業員人数101人以上
  • 令和6年10月から:従業員人数51人以上

に変更となり、1年以上見込まれることという雇用期間が

  • 令和4年10月から:2か月超

に変更となります。

さとちゃん

ということは、今後はパートやアルバイトのような働き方でも健康保険と厚生年金に入る可能性が高くなるってことですか?

えみちゃん先生

そうなりますね。もし、これまで夫の健康保険の扶養に入るために収入を130万円未満に抑えていたとしても、法改正後は夫の健康保険の扶養から外れて自分自身で健康保険と厚生年金に加入することになる人が、増えると思われますね。

さとちゃん

それって法改正後は、健康保険料と厚生年金保険料のことを考えたら、賃金を月額88,000円未満に抑えた方がいいってことですか?

えみちゃん先生

確かに夫の健康保険の扶養に入っている妻が、自分自身で健康保険と厚生年金に加入することになった場合、新たに保険料負担が発生するので、同じ働き方だと手取り額が少なくなってしまいますね。手取り額のことだけを考えた場合、賃金額によっては月額88,000円に抑えた方が多くなるケースも発生します。

さとちゃん

やっぱり・・・

えみちゃん先生

ただ、自分自身で健康保険と厚生年金に加入するということは、傷病手当金や出産手当金が受給できたり、将来老齢厚生年金が受給できたり、もしも障害状態になった場合に障害厚生年金が受給できたりとメリットもいろいろあります。

さとちゃん

そうなんですね~

えみちゃん先生

それにもしもこれまで「本当はもっと働きたいけど、健康保険の扶養に入るために働き方を抑えていた。」というような場合は、今回の法改正を機に働く時間を増やすという選択肢もあるのではないでしょうか。

さとちゃん

なるほど!そういう考え方もできますね!

えみちゃん先生

ただし、夫の会社で家族手当が支給されている場合は、妻の働き方によって家族手当の支給が止まってしまう場合もあるので、そのこともふまえて考えてくださいね。考え方や価値観は人それぞれなので、自分が何を一番優先したいのかを良く考えて働き方も選んでください。

さとちゃん

はい!

【本日のまとめ】
パートやアルバイトなどで働いている場合に、健康保険と厚生年金に加入するかどうかは、会社の従業員人数が何人かによって基準が異なる。
現在は、従業員人数が501人以上か500人以下かで基準が異なる。

従業員人数が501人以上の会社の加入基準は4つあり、4つ全てに該当する場合は加入となるが、その4つの内の1つに「賃金月額8.8万円以上」という賃金の基準があり、8.8万円の月額を年額にすると約106万円となることから「106万円の壁」と言われている。
加入基準の違いを判断する従業員人数は、今後法改正が予定されていて、令和4年10月から101人以上、令和6年10月から51人以上と段階的に人数が下がっていくことになっている。

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