44年以上厚生年金に加入すると年金がたくさんもらえるって本当?

知っておきたい制度のこと | 社労士・FP事務所 スマイルポート大津
えみちゃん先生

それは、「長期加入特例」という制度のことですね!

和子さん
(さとちゃんのママ)

チョウキカニュウトクレイ?なんですかそれ?

えみちゃん先生

厚生年金に44年以上加入した方が、老齢厚生年金をもらえる年齢になってから65歳になるまでの間に厚生年金に加入していない期間があれば、その期間については65歳以降にもらえる金額に近い額の年金がもらえるんです。

和子さん
(さとちゃんのママ)

そんな制度があるんですか~♪もしかすると夫も当てはまるかもしれないから詳しく聞きたいです!

えみちゃん先生

わかりました。長期加入特例には、注意点もあるので、今から詳しくご説明しますね。

長期加入特例に該当する条件は、次の4つです。

  • 厚生年金の加入期間が44年以上(528月以上)
  • 厚生年金に加入していない
  • 老齢厚生年金をもらえる年齢になっている
  • 65歳未満

長期加入特例は、上記①~④のすべてに該当する必要があります。

①~④それぞれに注意事項がありますので、今から詳細を確認していきましょう。

まず①の「厚生年金の加入期間が44年以上(528月以上)」ですが、期間が連続している必要はなく通算して44年以上あれば良いのですが、公務員の方については、公務員期間公務員以外の期間とを通算することはできません

また、厚生年金の加入期間は、月末まで加入していてはじめて1か月としてカウントする点にも注意が必要です。

例えば、11月に退職する場合、退職日が11月29日の場合、厚生年金は退職日の翌日である11月30日が資格喪失日となります。この場合、11月分の厚生年金保険料を支払う必要はなく、11月は厚生年金の加入期間には含まれません

仮に令和2年10月までの厚生年金加入期間が527月だった場合、会社を11月29日付けで退職してしまうと、11月については厚生年金加入期間には含まれないため528月に達しないことになってしまいます。この場合、長期加入特例に該当するためには、退職日を必ず11月30日以降にする必要があります。退職日のたった1日の違いで、長期加入特例に該当しなくなってしまう可能性があるので、特例に該当する可能性がある場合は、具体的にいつまで厚生年金に加入すれば良いのかを、年金事務所で確認することをお勧めします。

次に②の「厚生年金に加入していない」ですが、これは厚生年金の加入期間が44年以上に達した後に会社を退職しているか、働き方を変更して厚生年金の加入から外れる必要があります。このうち働き方を変更して厚生年金の加入から外れる場合ですが、勤め先の会社で「厚生年金に加入しない働き方」が可能かどうかの確認が必要です。従業員にどのような働き方をしてもらうかは、会社によって考え方が違うため「厚生年金に加入しない働き方」ができない可能性もあるためです。長期加入特例に該当することを希望する場合は、必ず事前に会社に確認しておきましょう。

続いて③の「老齢厚生年金をもらえる年齢になっている」と④の「65歳未満」についてですが、実は長期加入特例は65歳になるまでに老齢厚生年金の受給権が発生する方が対象の制度です。

具体的に言うと、

  • 男性:昭和36年4月1日以前生まれ
  • 女性:昭和41年4月1日以前生まれ

の方が対象となります。

昭和36年4月2日以降生まれの男性と昭和41年4月2日以降生まれの女性は、年金をもらい始める年齢が65歳のため厚生年金加入期間が44年以上だとしても長期加入特例には該当しないことになります。

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※老齢年金の受給開始年齢については、「老齢年金は何歳からもらえるの?」のブログをご覧ください。

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どのような場合に長期加入特例に該当するのかの具体例を、図で確認してみましょう。

次に長期加入特例に該当した場合の年金額について確認していきましょう。

長期加入特例に該当した場合、本来は65歳からしかもらえない老齢基礎年金部分に近い金額を老齢厚生年金に加えてもらうことができます。更に加給年金対象者がいる場合は、加給年金ももらえます。

和子さん
(さとちゃんのママ)

カキュウネンキン???

えみちゃん先生

加給年金については、別の機会に改めてご説明しますね。

和子さん
(さとちゃんのママ)

はい。よろしくお願いします。

長期加入特例に該当した時にもらえる年金額を図で確認してみましょう。

なお、会社を辞めることによって長期加入特例に該当した場合、注意してもらいたいことがあります。

会社を退職後、働く意思と能力があり求職活動しているにもかかわらず就職できない場合は、一定の要件に該当すればハローワークで手続きすることにより失業保険(正式名称は基本手当)を受給することができます。

ただし65歳未満の間は、失業保険と老齢厚生年金を同時にもらうことができません。

失業保険をもらうためにハローワークで求職申込の手続きを行うと、その翌月から老齢厚生年金が全額支給停止となります。たとえ老齢厚生年金の金額の方が、失業保険の金額よりも高額であったとしても必ず老齢厚生年金が支給停止となります。

そのため長期加入特例に該当する場合は、失業保険よりも年金額の方が高額になる場合があるため、求職申込をする前にハローワークで失業保険の金額を確認し長期加入特例該当時の年金額と比較してみることをお勧めします。

和子さん
(さとちゃんのママ)

失業保険と老齢年金は、同時にはもらえないんですね~。

えみちゃん先生

そうなんです。そして、長期加入特例に該当する場合は、他にもいろいろと考えてもらいたいポイントがあるので、もし良ければ個別相談を受けていただきたいです。

和子さん
(さとちゃんのママ)

わかりました。夫が長期加入特例に該当する可能性がある場合は、ぜひ相談させてください!

【本日のまとめ】
「厚生年金加入期間が44年以上」「厚生年金に加入していない」「老齢厚生年金をもらえる年齢になっている」「65歳未満」のすべてに該当する場合、本来は65歳からしかもらえない老齢基礎年金に近い年金額を「定額部分」として老齢厚生年金に加えてもらうことができる。更に加給年金対象者がいる場合は、加給年金ももらうことができる。ただし、失業保険をもらっている期間があれば、その期間については老齢年金が全額支給停止される。

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